【研修レポート】2018年9月 日本財務管理学会 第47回秋期全国大会
2018年9月23日開催の日本財務管理学会秋季全国大会に参加させていただきました。
統一論題のテーマはコーポレート・ガバナンスについてであり、何度かテーマに取り上げられていますが、毎回違う企業・違う角度での考えを聞かせていただくことができ、私は一番耳に入りやすいテーマでした。
立命館大学名誉教授の松村先生のお話で特に印象に残ったことは、
徳島県の注文在宅企業株式会社「はなおか」の事例です。
「はなおか」の業務内容は、注文住宅の設計・施工が88%を占めており、その他は土地開拓分譲、リフォーム全般である。
創業3年目には引き渡し棟数において徳島県内トップ10に入り、8年目には県内第1位の注文在宅会社となった。驚くべきなのは、企業の成長スピードはもちろんだが、13年連続1位を取り続けていることでした。
「はなおか」の代表である花岡氏は次のように述べている。
1. 非利益至上主義
「私は、売上高でも利益のうえでも、大切なことは『数字が語る順位ではない』と思う。拡大より進化である。なぜなら、結果に過ぎない数字だけを求めていくと、目標とした数字に達するとどうしても心理的な達成感、満足感、頭打ち感が出てしまう。また、経営にも弾力性が失われるからである。」
2. 具体的な人間としての従業員・顧客との関係性
株式会社はなおかのミッションは「お客様に感動される会社を目指す」というものであり、経営理念は「正直に王道を行く」とある。
これだけ聞くと経営理念のイメージが浮かばなかったが、内容はシンプルでとてもわかりやすいものだった。
「はなおか」の王道とは、関わる人すべてに信用、信頼されるという目標に向かって心がぶれることなく、一歩ずつ着実に歩むことである。また、お客様が『はなおかに仕事を依頼して本当によかった』と思ってくださり、応援したいと思っていただける会社になりたいというものだ。
社員同士の仲間意識を高めるため、社内行事も多く、経営陣と社員の信頼関係によってスタッフ一丸となり、全体で経営をしているような印象を持った。
このような「大家族主義経営」は、欧米の個人主義の対極にある経営スタイルだと松村先生は発表していた。
他企業のコーポレート・ガバナンスや経営理念を知りたいと思い、最近ニュースでもよく見る株式会社ZOZOのコーポレート・ガバナンス、経営理念を調べてみた。
前澤社長が鎌ヶ谷出身ということは知っており、大手ファッション通販サイトの成長はすごいと思っていたので前から興味があった。
経営において、スタッフ満足度、千葉県の地域発展に力を入れていることがわかった。
例)幕張手当
株式会社ZOZO本社がある幕張の地域活性化を目的とした手当で、指定エリア内に住むスタッフに地域貢献手当として、月5万円が支給される社内制度である。
千葉市への納税や近隣の商店、飲食店、サービス店へ還元されること、スタッフにとっては会社の近くに住むことで通勤しやすくなること、近くに住むスタッフ同士が交流を持ちやすいなどといったメリットがあり、スタッフの8割がこの制度を利用しているとHPに記載があった。
他にもいろいろな手当があったが、やはり大手企業ならではというものもあり、すぐに取り入れられるものではないと感じたが、「はなおか」や「株式会社ZOZO」のようにスタッフも幸せになり、幸せがお客様や地域に連鎖するような仕組みや経営理念はとても勉強になった。
北海道大学での懇親会終了後、京都産業大学中井先生からお誘いいただき、
他先生方とのお食事も、大変貴重な時間でした。
Written by T.